売出価格と成約価格の違い

皆さん、家を買う時、どのような観点から安いもしくは高いを判断しますか?

 

実は住宅購入ってかなり難易度高いんです。

一番難しい買い物と言っても過言ではないです。

 

なぜなら、1つとして同じものがないからです。

隣同士で並んだ建売も建てた大工も違えば、土地も少しずれるだけで日当たりや風通しなども全く異なります。日当たりって本当に重要で、冷暖房費に大きく影響します。生涯コストで数百万円は変わる違いです。

よく5棟同じ建売が並んでいて、同じ価格で売り出しても、すぐに売れるものと売れ残るものがあります。これって売出価格を業者が敢えて一緒にしているだけで、本当は最も高いところに5棟全部を合わせているだけです。

この場合、一番最初に売れた建売のみが適正な価格設定になっており、その他は相場よりも

かなり高いという可能性があります。色々な戦略がありと思いますが、最も条件の悪い棟だけ適正価格の安い価格にしておいて、他の4棟を最も高いところに合わせることもあります。

この場合、安い価格はおとり物件で、見に来た人は、安いものを見ますが、営業は、デメリットを列挙し、高い物件を買わせようとします。もちろんそれでもおとり物件を買いたい人はたくさんいるので、すぐに一番安いところが売れます。そうすれば、その他4棟のうち、2番目に相場が安いところを値下げするのです。次のおとり物件です。このように順番におとり物件を作っていき、最後の1棟は、利益がでなくても、安くして売り払います。この手段ですと、売れ残っているところが高い価格なので、買った人は良い物件が他より安く買えたと喜びます。実際は、すべて相場より高めの価格設定にしておき、値下げでお得感を出す方法も良くあります。

相場を知るには、売出価格ではなく成約価格を調べてください。ネットで出ている販売価格は、売主の希望価格で相場とは直接の関係はありません。

もちろん相場が2000万円のエリアで,3000万円で売り出していれば、売れませんが、少し盛って、値下げ交渉も加味して2200万円くらいで売り出すことも多いです。

一番確実なのは、国交省のサイトで土地建物取引価格というものがありますので、こちらを検索で調べてください。各市町村レベルで検索でき、成約価格が出ています。

すべての物件では調べることが難しいですが,過去数年の物件の場合、販売価格の情報がネットに出ていることがあります。

まず国交省のサイトで成約価格を調べたら、同じ物件を検索してみてください。売れている物件なので、ほとんどの場合消されていますが、まだ残している不動産会社があったり、画像検索で出てきたりします。

この場合、販売価格と成約価格の乖離が分かります。

極端な例だと、2080万円で売り出されていた物件が1800万円で成約していたこともあります。

場合によっては、相場より安く手に入れることができるでしょうが、多くの場合、優良な物件は、相場より高く取引される傾向にあります。というか、人間の性なのですが、住む家の相場を気にすること自体がナンセンスなのかもしれません。

 

いくら安くても、住みたくない家っていやじゃないですか?

ある程度気に入ったデザインで、希望のエリアで、傷んでいなく、近隣の雰囲気も良く等の

条件をある程度持っていないと、ただ相場より安い家を買っても満足できません。

 

そして、住宅を探している人は、そのような理想の物件を求めているわけで、みなさんがだいたい似たようなエリアで、似たような物件に興味を示します。

例えば、相場が2000万円のエリアで、2200万円でそのような魅力的な物件が現れた場合、何人かが興味を示します。その中には、その家がほしいと強く望んでいるため、例え相場より高くてもほしいと思う人が出てくるでしょう。

その場合、あなたが2000万円が妥当と考えていても、他の人が2200万円で買うので、手に入れることができません。

相場なんて目安であって、各物件の適正価格は結局、売れた価格なんです。

住宅購入ってオークションに似ています。

一番高く、購入価格を提示した人が買うことができます。

しかし、買った後で、あと10万円でも安くできたのではないかと思います。

 

あなたが2200万円の物件を2150万円で指値をして、2150万円で購入できたとします。

その時、2100万円で指値をしておけばよかったと後悔するのではないでしょうか。

しかし、2100万円で売主に断られれば、2200万円で買わないといけないかもしれないですし、2140万円で指値を出していた人がいて、他の人に2140万円で買われていたのかもしれないです。

あなたが2150万円で買うと決め、買うことができた時点で、それ以上の値引きができたかどうかは誰にも分かりません。欲を出して、多めの指値をして、他の人に物件を取られた例は多数あります。

結局不動産って一点ものなので、他の物件の成約価格って参考にしかならないんですよ。

近場の似たような築年数で似たような広さの物件が2000万円で取引されたからって、同じような物件がすべて2000万円というわけにはならないです。

使用状態が良ければ、その分多めに出してもいいでしょうし、物件の相場って、細かい設備や綺麗さなどはほとんど加味されません。

例えば200万円のカップボードがついていれば、その分50万円くらい多く出してもいいかもしれないですし、床が合板ではなく、300万円する無垢床ならば、100万円くらい多く出してもいいかもしてないです。

日本の中古物件の査定では、このような設備や綺麗さはあまり考慮していないようです。

 

なので多くの物件が、築年数や広さと立地で価格を決められています。

あまりに汚れていたり、設備が乏しかったりすれば、相場通りでは売れないでしょう。

この場合、売れ残ることが多いので、指値をして安く買えばいいんです。

もし、ものすごく綺麗で、設備に充実している物件が相場とおり2000万円で出ていれば、指値なしで買っても、お得に買えます。

言いたいことは分かりますかね?

相場なんているのは参考程度でしかなく、最終的には、相場からいくら多く出しても良いか、いくら安くならないと買えないかをあなた自身が判断して購入するしかないとのことです。

 

良くある失敗が、相場より安いからお得と勘違いをして中古物件を購入してしまうことです。ほぼ間違いなく、何かしらの問題を抱えているため、安くなっていると考えられます。

人によっては相続物件だからお得とか、離婚して売り急いでいるから安く買えるとかありますが,本当にお得に買えるのは稀な例ですし、極端に安くなるわけではないです。

このような特殊事情で安くなる場合、大抵は不動産会社が買います。そして不動産会社が売主となって転売します。

家ってほんと見た目では分からないことが多く、前に住んでいた人がどれくらい家のことを理解していて、大切に使っていたのかが重要になります。

全く手入れされていない、誤った使い方をしていた築10年の家より、大切に正しく使っていた築20年の家のほうが長持ちするのは明らかです。

建物の販売価格は間違いなく築10年のほうが高くなります。それだけ築年数は販売価格に影響します。

よくあるのが、24時間換気を消している住宅。理由を聞くと冬は寒いからだそうです。

これはナンセンスで、もし、ダクト付の一種換気でしたら、ダクト内にかびが生えている可能性が高く、高額な清掃費用を払って使うか使い物にならないかのどちらかです。

そして換気ができていない家は、カビが様々なところで繁殖していることが多いです。また湿気がたまり、家にへんなにおいがついていたり、湿気で家が傷んでいる可能性が高いです。

このような状況に加え、食べかすなどが慢性的に落ちていて不衛生だと、シロアリが繁殖している可能性もあります。

離婚で売り出す物件などは夫婦仲が悪いこともあり、多くの例では、家の手入れなどを熱心にしていません。

相続物件は、多くが築古で、稀に築浅の物件がありますが、大抵は家族に不幸があったことが多く、安さだけで積極的に手を出す物件でもありません。残された遺族が納得しているとも限らず、気持ちよく住めるとも限らないです。

築浅で中身がボロボロでも表面のクロスや床だけをリフォームして売り出している物件も多く、見た目は新築のように綺麗なため、新築と比べかなりお買い得に購入できます。

ただ覚えておいてください。家の寿命は基礎や柱などの構造体によって決まります。地震で崩れたり、致命的な雨漏りが発生したり、大規模な白蟻被害にあえば、一気に住めなくなります。どんなに床や壁が新品でも関係ないです。逆に壁や床が傷んでいても、家の構造がしっかりしていれば何十年も余裕で暮らせます。

人間に例えると、最近の住宅リフォームは、スキンケアやおしゃれに似ています。目に見える肌(外壁表面)や服(内装)にばかり拘って、家の構造体(内臓等)を無視したものばかりです。

健康で長生きしたいなら、まずは、食生活などを見直し、内臓を元気にしないといけないです。別に健康で長生きするためには、多少肌が汚れていても、古い服でもいいんです。

大切なのは、健康かどうかです。

家も同じです。リフォームせずに、長く暮らせる家を探せばいいのです。

若く不健康な人より年老いても健康な人もほうが長生きする例がほとんどです。

家も築年数が古くても、良い素材を使って建ててあり、前のオーナーが大切に使っていれば、安い新築より長持ちします。そのような物件は、築年数が古いので、相場とおりに買っても安く買えます。

要は、お買い得な安い物件を探すのではなく、相場を参考に、自分の希望にあったエリアで大切に使われた物件を探すのが一番良いです。