20節 予算制約線と無差別曲線

今世の中にりんごと牛肉しか存在しないと仮定する。

 あなたには一定の所得があり,りんごと牛肉の購入に充てる。合理的に行動すれば,所得をどちらかの購入に使い切るのが合理的である。極端な例はすべてどちらかの購入に充てる場合で,その中間に両方を買う選択肢がある。すべての場合を点で結べば直線になる。

今,所得が1000円で牛肉が200円,りんごが100円だとする。縦線と横線を引き,1センチを個数にして縦を牛肉,横をりんごにすれば,選択肢は,(縦の個数,横の個数)とすると

(5,0)(4,2)(3,4)(2,6)(1,8)(0,10)となる。すべてを結べば,予算制約線ができる。消費者は先に述べた6つの選択肢のいずれかを選ぶ事になる。

 どこを選ぶかを決定するのが,無差別曲線だ。一定の効用を保つためのりんごと牛肉の様々な組み合わせを結んだ線である。一定の効用を大きくすれば,その分両者の個数も増える。限界効用逓減の法則より消費個数を増やせば1個あたりのモノが効用に与える効果は小さくなる。つまり両者を満遍なく消費する選択が最も効率がよい場合が多い。もちろん人によって好みがあるので人によっては極端に牛肉の消費に重みを置く人もいる。

 両方とも好きな人ならできるだけ両者を多くかつ満遍なく消費したいと考えるので,所得を全部使ってできるだけ両者を消費する先程の6つのいずれかになる。無差別曲線が予算制約線より右上に来ると消費できない量になるので不可能,左下に来るともっと多く消費できるので非効率,よって両者の線が接する時が最も効率のよい,つまり効用最大化の点となる。満遍なく消費しているのは(3,4)の場合となる。

 次回は効用最大化について述べる。