21節 効用最大化

効用最大化のためには効用関数が必要となる。なぜならば効用というものを数値化しなければ最大化ができないからだ。

 例えば,効用をB,りんごをA,牛肉をMとすると

  B=A+M

 みたいなものである。B=10で一定にすると,

  10=A+M→M=10-A

 となり,B=10の時の無差別曲線となる。

  単純な例だが,この場合効用最大化するためには,Bをできるだけ大きくすればよいからAかMを可能な限り増やせばよい。どちらのBに与える影響は同じなので安い方を買えばよい。この場合は,所得をすべて安い方に費やす事が最適選択となる。

 この効用関数の問題は何か?

 まず限界効用逓減の法則が適用されていない点だ。りんごの消費を増やせば,追加的な1個が効用に与える影響は小さくなる。

 もう一つは,効用に与える財を有形のモノに限定している点だ。健康や人との繋がり等無形の財も効用に多々影響を与える。

 無形のモノを数値化するのは困難なので,ここでは2財のみ存在すると仮定して分析している。限界効用逓減の法則を適用させるには,効用関数をB=AMにしてAとMに√をつければよい。この効用関数をコブ・ダグラス型効用関数という。

 B=√A×√M

 BをAで微分すると,りんごの限界効用が求められる。Mで微分すると牛肉の場合が得られる。限界効用が価格と等しくなる時,Bは最大化されていると言える。

 なぜならば,限界効用が価格より高ければもっと買った方がよくて,低い場合は減らした方がよいからである。

 効用が個数と共に逓減するため,価格が下がった時消費量が増えるのである。

 複雑なのは,A君の効用にB君の効用が影響を与えている場合である。B君の効用にC君の効用が影響を与えていれば,A君とC君が他人同士でもA君の効用にC君の効用が影響を与える。現実社会はこのようになっている。なので社会は繋がっており,世間というものが存在すると思われる。

 次回はグレシャムの法則について説明する。