ハウスメーカーとは何か?工務店や大工さんとの違い

賃貸にお住まいの方が住宅購入を検討するとき、ほとんどの方がチラシやインターネットで検索して、気になったモデルハウスや建売を見学するところから始まると思います。

 住宅購入には正解はないですが、服選びなどと同じで自分の求めるものと実際に選ぶものに乖離が生じる可能性が高い商品となっております。

 基本的にハウスメーカーは自社オリジナルの規格住宅をいくつも持っており、地元工務店は昔ながらの木造建築を主体とした家づくりを行っています。

 平たく言えば、ハウスメーカー=全国展開している工務店で、独自の規格住宅を販売している。地元工務店=あるエリア限定で独自の規格住宅を販売している。ハウスメーカーは基本、建築部分は、施工するエリアの工務店に依頼するが、地元工務店は自身ですべて行うのが原則である。

 ハウスメーカーの自社オリジナル=意匠性と言ったりもしますが、他社が真似できないものも多数あります。例えば積水ハウスの外壁であるダインコンクリートなどはその最たる例で、自社オリジナルの開発・設計で特許もあるので、もしダインコンクリートがどうしてもほしいとなれば積水ハウス一択となります。

 また、ハウスメーカーは全国で同一の商品を複数建てており、実績もあり、品質も均一になることが多いです。実は、家というのは、車や家電のように一見、パンフレットやチラシに載っている家と同じ家が手に入ると思いがちですが、すべて見た目は一緒でも中身は全く別物の家で、欠陥も多い商品です。現に新築には10年保証をつけることが義務つけられています。

 本記事の本題となりますが、この欠陥の割合が大手ハウスメーカーは極めて少ないということがハウスメーカーの最大のメリットとなります。

 実はほとんどのハウスメーカーは、商品の企画、開発や販売、アフターメンテなどは行いますが、建築部分は地元工務店や大工さんに依頼している例がほとんどです。地元の工務店を調べていると~ハウスメーカーの指定工務店などと記載されている会社がございます。このような会社は長年そのハウスメーカーとお付き合いがあり、独自の技術を伝承され、建築に携わっています。つまり、ハウスメーカーは、魅力的な家を設計し、他社では真似できない技術を盛り込み、その規格住宅を宣伝し、顧客を集め、販売し、その後建築を指定工務店等に依頼して、完成した家を顧客に引き渡します。もちろん販売時の国や地方自治体への建築申請やローン手続き、引き渡し時の外構工事のアドバイスや入居後の点検サービスの手配や修繕の相談など、幅広くお客様のコンサルとして活躍します。

 なのでハウスメーカーが一棟家を建てる時は、指定工務店等に支払う費用、企画・開発に必要な費用、広報(CMなど)に必要な費用、営業・販売に必要な費用等々がかかるわけです。

 つまり、ハウスメーカーで家を買うときは、家以外にも多数の形に残らない手数料に近い費用を上乗せして支払う必要があります。

 もちろんですが、工務店で買うよりハウスメーカーで買う方が同じ家だとしても高くなります。これだけ、色々な経費が上乗せされるわけですから、仕方のないことです。ここで、結構の数の方が、ハウスメーカーで買うのは損だと考え、地元工務店や一部のローコストハウスメーカーで建てようと考えます。ここで注意しておきたいことが家は見た目は一緒でも中身の欠陥割合は全く異なるということです。

 ハウスメーカーは、全国で建てた家からのフィードバックを受けて日々細かな点の改善も行い、プロ集団が家の設計に携わります。つまり、欠陥はすぐに解消され、次回以降欠陥のない家ができるように改良を重ねていきます。指定工務店への指導も丁寧に行っており、そもそもがまるでプラモデルのようにハウスメーカーが工場で部品を事前に作り、それを現場に輸送して、現場で指定工務店が作るというような手順になっていることが非常に多いです。ユニット工法と言ったりもしますが、壁なども中の断熱材などもすべてセットした部品を複数工場で作り、その部品を現場でクレーンなどで吊り上げて組み立てていくやり方です。このやり方の最大の長所は誰が組み立てても品質にばらつきが生じないということです。

 従来のやり方だと、地元工務店お抱えの大工さんが柱や釘などを使って、家を建てていきます。手順通りやれば立派な家が建ちますが、問題は中身になります。大工の技量というのは本当に千差万別で釘1つ取っても、真っすぐではなく少し歪んで打てば、家の強度は大きく下がります。また本来必要な長さより短い釘を打っていたり、柱の本数が足りなかったり、少し家が傾いていたり等々探せば欠陥が山ほどでてきます。

 しかし、新築時は見た目は綺麗なので、施主はそんなことは気づかず、暮らし始めます。小さな欠陥の場合、保証期間である最初の10年に不具合が出ることは稀です。往々にして15年~20年くらいしてきたときから劣化が見られてきます。欠陥のある住宅は新築時から既に強度が下がっていたり、細かい隙間などができていて、その隙間から冬場の室内の暖かい湿った空気が壁の中に侵入し、冷えた壁の中で結露して中の断熱材が腐ったりすることも多数あります。

 結論ハウスメーカー工務店の違いは、意匠性と品質の均一的な高さとなります。これらが満たされる代わりに価格が高くなるというわけです。

 世の中の売り上げを見ているとハウスメーカーで購入されている方が多数派ということが分かります。会社の数では圧倒的に工務店の方が多い、かつ安く建てられるにも関わらず、多くの人がハウスメーカーを選ぶのは、やはり価格が高くても欠陥の少ない家を建てたいということの顕れでしょうか。

 やはり服に似ているなと思います。同じ素材を使っていて、同じデザインの白いシャツでもブランド物が良く売れます。

 これは一重に、ブランドに惹かれて買っているという側面もあるでしょうが、それ以上に品質の低いものを買ってお金を無駄にしたくないという保険的な側面も強いのだと思います。

 家は失敗すると取り返しがつかないので数百万円高くなったとしても品質の高い家を買いたいと思うのは当然だと思います。

 実際ハウスメーカー工務店の家はデザインも大きさも性能もほぼ同じでも、やはり中古市場でも大手ハウスメーカー施工の家は、数百万円高く売り出されている印象です。

 結局差額はハウスメーカーの安定した品質というブランド力となります。