2節 三面等価

テーマ:経済学

 海外と貿易していない閉鎖経済を想定する。

 国内で生産したモノはいずれ国内で消費される。国内で消費されれば,その売上が誰かの収入になる。よって生産費と消費と所得は必ず等しくなる。これを三面等価という。

これが成り立たない場合は貿易をした時である。実は,日本に外国企業を誘致する事と貿易黒字を拡大する事は同時に実現できない。これについては次次節で説明する。

賃金として還元されるのは,GDPの 7割ほどで,あとは株主や地主等の資金や土地の資産を貸した者に支払われる。このような所得はほっておいても入ってくるので不労所得という。

 マルクスは,この不労所得についてかなり議論をしていたが,この所得の源泉も実は,労働力なのである。なぜか?

 土地を持っている人は,その土地を手に入れるために資金が必要である。その資金を稼ぐためには労働で稼がなければならない。その稼いだ資金を貯める事で将来の投資を可能にしているのである。歴史が始まった時,あるのは自然と人間だけである。

 先祖代々,自然と自分の体を犠牲にして資本を形成していったのである。なので不労所得は昔の労働力に対する対価なのである。

 次節は,利潤の源泉について説明する。