18節 価格差別

カラオケはなぜ夜高くなるのだろうか?

 昼間に比べると3倍近くになっている所も多々ある。

 これは来る客層が大きく影響している。つまり,昼は未成年,学生,パートタイム労働者等比較的所得の低い客が多い。逆に夜はフルタイム労働者や二次会の団体等が多く来る。カラオケはどちらかといえば贅沢品となるので,所得の低い人の価格弾力性は極めて高い。つまり昼は安くしなければ売上が大きく下がるのである。夜の客も価格には反応するが,価格弾力性は前者に比べて低いので,価格を高くした方が売上は上がる。このように需要者に応じて価格を変える事を価格差別という。

 価格差別は至る所で利用されている。100円マッ○もその典型だ。100円のハンバーガーの原価は50円近くかかっているので,原価率50%となり極めて効率が低い。これは学生等を対象としている。逆にバリューセッ○等は価格の割に原価が低いので,社会人等をターゲットにしている。

 スタ○でも普通のコーヒーとカプチーノは150円位違うが,原価はほとんど変わらない。これは,所得層に応じてメニューを用意して,高所得の人がよく注文しそうな品の価格を大きく上げている。価格差別の例は数限りないほどあるが,原価の割に価格に大きな差がついていれば価格差別の可能性が高い。

 この場合の最善の行動は,100円マッ○と普通のコーヒーを飲み続ける事となる。

価格差別をやる店は,安くした分の赤字を高くした分から徴収している。つまり100円マッ○の損失分がバリューセッ○の価格に転嫁されているのである。

 次回は,お金について説明する。

 ミクロの教科書では,最初にこの説明が来るが,実はかなり難しい概念である。図と数式が基本用いられるが,敢えて言葉のみで説明を試みる。

 ミクロ経済学の至上目的の1つは全人類の効用最大化と言っても過言ではない。

 この効用最大化問題について次回以降数節説明をする。