17節 効率性と公平性のトレード・オフ

前回の続きだが,消費税をかける事は効率性の観点から望ましくない。

 なぜならば,価格に税が上乗せされるため,本来より価格が高くなり,限界効用が価格より高いが課税後の価格より低い場合,その人々はその製品を購入しなくなるからである。

 購入しない事による機会費用は,この人々がこの製品から得られなかった効用である。

 この機会費用は価格弾力性が高い製品ほど,需要の落ち込みが激しいので顕著である。

 この機会費用の事を死荷重(Dead Weight Loss)という。

よって効率性の観点からは,贅沢品の税率を下げ,必需品の税率を上げる事が望ましい。

 だが,公平性からは逆の結論が導き出された。つまりここでトレード・オフが生じる。

 消費税に効率性を求めるなら必需品の税率のみを下げる軽減税率の議論は正しくない事になる。国民がどちらに重みを置くかで消費税の仕組みが決まる訳である。

 次回は需要の価格弾力性に関連した内容で,価格差別について説明する。