7節 一般均衡理論

今回は,一般均衡理論について説明する。

以前お話したアダムスミスの神の見えざる手の説明は部分均衡理論といい,りんごならりんごのみに注目して分析する。

りんごの価格が下がれば,今までと同じ数量購入すれば所得が余る。よほどのりんご好きでない限り一部はりんごの追加的購入に使うだろうが,多くを他の財の購入にも充てるだろう。国民全体がその動きをするので,他の多くの財の需要も増える。そうなると多くの財の価格が上がる。そうなればそれらの財を沢山購入している人は需要を減らさないと所得が維持できないため一部その財の消費を減らし,ついでに他の財の消費も減らすという行動を起こす。他の財にはりんごも含まれているので,りんごの価格が下がる事は長期的にはりんごの需要を下げる事にもつながる。

今プロセスをかなり簡略化したが,この他の財への影響は半永久的に続く。元々出始めのりんごの価格が下がった事も他の財の価格が高騰して,国民の所得が下がった事でみんながりんごの消費を減らした事が間接的な原因かもしれない。

2008年のガソリン価格の急騰は,ガソリンだけでなく他の多くの財の需要も減らした。それが,間接的にデフレを導いたといっても過言ではないと思う。

このように経済は密接に関わっている。

これは,非常に難しい問題を孕んでいる。つまり,ガソリン価格の急騰が短期的にガソリンの需要を下げても長期的には,価格の下落を招き,急騰前より需要を増加させる可能性も考えられる訳である。

一般均衡理論の創始者は仏のローザンヌ学派ワルラスである。非常に数式が難解で難しいが現実の経済はこれ以上に複雑で人々の思惑が働く上,多くの人間が決して合理的に行動していないので予測するのは最高級に難しい。

次回は趣向を少し変えて地代について説明する。例えば,東京駅の目の前にコンビニを建てた場合で,利益が出ていれば,その営業は続けるべきか否かを考える際等に地代の考え方を利用する。