絶対に騙されるな!素人が市街化調整区域の土地に手を出してはいけません!

実は市街化調整区域の理解って土地から住宅購入を始める方にとっては最も重要と言っても過言ではないくらい重要なことなんです。

もし市街化調整区域と聞いて、「市街化を調整しながら進める地域」とか「なんかの制限がついた安い土地」などという半端な理解をされているようなら、間違いなく本記事を読んで理解を深めていただきたいと思います。

市街化調整区域の理解をしましょう!

県庁所在地等の都市部などのエリアで、もし何も気にせずに家や商業施設を建てられるようにすると、みんなが勝手に広いエリアに無作為に建物を建てます。しかし、市街化計画というのは複雑で、例えば栄えている駅前やにぎわっているエリアから遠く離れたところに家を建てられると、その家のために水道やガスや電気などのインフラを延長させないといけないですし、救急車などの出動エリアも広がります。病院などの施設もどうしても人口が集中するエリアに建てたいですし、建物が散らばると、まとまったエリアが必要な農地などが有効活用できないという問題もあります。そのようなことがあり、市街地というのは、できるだけコンパクトにして限られた地域に、できるだけ家や商業施設を集中させ、効率よく生活ができるようにしたいと考え、そのようなエリアを線引きし「市街化区域」としました。市街化区域は基本的に自治体が今後インフラなども充実させ、発展させていくと計画しているエリアです。逆に市街地から離れたエリアについては、人口が散らばると厄介なので、今後は、そこに住む人たちを減らしていき、市街地に集めるように仕向けようとしています。これらのエリアを「市街化調整区域」と線引きし、これらのエリアに住む人は、今後の生活に制約をかけるようにします。具体的には、将来他者に土地を売っても、家を原則建てられなくしたり、これらのエリアには商業施設の建設を許可しないなどの制約をかけています。実際市街化調整区域は道路整備なども疎かになっており、町全体が古くなっていたり、商業施設などがほぼ皆無なので閑散としています。「調整」というオブラートな言葉で説明していますが、自治体の言い分は「今後人に住んでもらいたくない土地で行政サービスなども今後はなくしていきたい地域」というのが分かりやすい表現です。

 

市街化調整区域の土地を購入するデメリット

一番大きなデメリットは、家を建てられない可能性があることです。基本的に市街化調整区域に勝手に家を建てることはできず、建築許可を自治体からもらう必要があります。厄介なのは、購入前に申請ができないので、購入後、この許可申請をすることになります。もし通らなければ、家の建てられない土地を保有することになります。もし購入する土地が宅地ならば、建築許可が下りる可能性は十分にありますが、確証はないです。さらに市街化調整区域をNGとする銀行もあり、希望する銀行で住宅ローンが組めないこともあります。さらにもし、農地などになっていれば、宅地に変更しないといけないですが、この変更が通るかも怪しく、変更できてもそのあとに建築許可が下りるかも分からないです。また、無事家を建てられることになっても、その土地に水道や電気などの線が来ていないことがあります。この場合数百万円かかることもあるので、結果的に安くなかったということにもなりかねません。また市街化調整区域は今後増々過疎化が進むことが予想されるので、将来その土地を手放す時に評価額が下がっている可能性は高いですし、もし今建築許可が下りた土地でも将来再度建築許可が下りるかは不明です。そのようなリスキーな土地を好む方は少なく、相当値下げしないと売れない可能性も高いです。さらに無事に家を建てられても、病院やスーパーや学校なども近くにない土地になるので、日々の生活が非常に不便です。道路などの整備も疎かになるので、将来になればなるほど不便な生活を強いられるでしょう。これらのリスクや不便さをすべて理解したうえで、なおお得に安く買えるというのでしたら検討の余地があるかもしれませんが、ほとんどの人は、これらを理解して、なお買いたいとは思わないはずです。

市街化調整区域に建築できるケース

様々なケースがあるため順番に説明します。

1.大手のハウスメーカーなどが分譲地として売り出しているケース

これが土地購入を考えている方が遭遇する最も多い例だと思います。市街化調整区域の広大な土地をハウスメーカー等が分譲して売り出すのです。事前にハウスメーカーが開発許可を取っているため、購入者は、何も手続きなく、家を建てることができます。ここまでは市街化区域と同じでしかも土地代が安く済むため、いいことばかりだと思います。

それでも不便であることは変わりないですし、将来土地を他の人に売る場合は、個別で開発許可申請が必要になります。よって売ることに苦労する土地であることは確かでしょう。

分かりやすい例でいくと、40坪の土地が、市街化区域では1000万円、調整区域だと500万円で売っているとしましょう。どちらも同じように家を建てられるとしたら一見調整区域の方が500万円も安いのでお得と思うでしょう。しかし、もし50年後などに売ることを考えたら市街化区域が700万円に値下げして、調整区域が100万円に値下げしていれば、市街化区域を買った人の損失は300万円、市街化調整区域を買った人は400万円の損失になります。50年不便な生活をした挙句、最終的には損失が大きいという最悪の結果も招きかねません。

人気のエリアの場合、本当に土地がないケースが多く、土地を出せばすぐ売れるということはよくあります。売る側もどうにか利益を出したいと思い、人気のエリアの近隣の市街化調整区域で分譲できそうな土地があれば開発許可を取り、売り出すことがあります。買う側からすれば、人気エリアの近場だという理由だけで手をだすことが多いですが、本当にお得な土地か吟味が必要です。往々にして、このような分譲地は強気な価格設定となっており、間違いなく割高になるということだけは肝に銘じておきましょう。

2.原則開発許可なしで建築できるケース

まずは、前提条件として、いつから市街化区域と市街調整区域ができたのか説明しましょう。これらの区域を分けることを俗に線引きと言いますが、昭和43年に新都市計画法ができたときに出てきたことで、都市が無秩序に拡大することを防ぐために作られ、市街化調整区域に家などを建築することを厳しく規制し、原則許可制にしました。線引きの時期は自治体によって様々ですが、昭和40年代に行っているところが多いです。

その後既存宅地制度という法律が昭和50年から平成13年まで存在し、線引き前に建てられた家の建て替えの場合は許可なしで、市街化区域と同じように建て替えができておりました。しかし、平成13年5月18日に都市計画法が改正され、既存宅地制度は廃止されたのです。この改正から5年間は経過措置として、許可が不要でしたが、その後は完全に廃止となり、現在も廃止となっております。ただし、線引き前に建てられた建物かどうかは、現在でも建て替えのための申請をした際に許可を出すかどうかの判断基準として非常に重要になっているため、この知識は必須です。

現在でも自治体によっては線引き前に建てられた家の建て替えかつ、建て替え後の家が既存の家の1.5倍以下という条件を満たせば、許可なしで建てられる例もあるようです。

また第三者に売り出すのではなく、自身や親族(6親等内)が同じ土地で建替えで住み続ける場合は原則許可なしで建築できる例がほとんどのようです。

3.個人で開発許可もしくは建築許可を取って建築をするケース

これが最も厄介なケースになります。要は許可がでなければその土地に建物を建てられないことになるので、ほぼ利用価値が0になるということです。許可の有無は自治体によってまちまちですが、既に戸建てが建っており、なおかつ市街化区域に隣接した土地で、比較的にぎやかなエリアでしたら、建替えの建築許可が出る可能性は高いです。逆に地目が農地の土地で、市街化区域から離れている土地などは、建築許可が下りる可能性は低いので、土地の評価額も低くなります。

 もし不動産売買で、業者から、例え市街化調整区域の土地でも現在建物が建っている宅地のため、将来の建て替えも許可申請すれば原則問題ない、購入後すぐでも建て替えの申請をすれば許可が出ると言われた場合は注意してください。今建っている建物が本当に問題なく建てられたものかを調べておく必要があります。

たまにあるのが、実は建築時に許可が出ていない違法建築だった。建築後、増築などをしていたが、その時に許可なく勝手にやっており、違法建築になっているというものです。購入後に気づいても後の祭りで、その土地にはもう新築はできない可能性も出てきます。ただでさえデメリットの多い市街化調整区域の土地を格安で手に入れても、結局建築できなければ全く意味がありません。安物買いの銭失いです。

市街化調整区域のメリット

今回の記事では、ネガティブな情報が多かったため、最後にメリットを上げておきましょう。

・税金が安い

家や土地には固定資産税及び都市計画税がかかりますが、市街化調整区域は都市計画範囲外なので都市計画税がかからないんです。人によっては、年間数万円かかるものが0になるので何十年も住めばかなりの差になります。

・周りに気を遣わなくて良い

住民が少ないので、気兼ねなく生活できます。庭で遊んだりBBQしたり、窓を解放できたり、眺望も良いと思います。目の前が田園なんていうのも素敵ですね。

・将来価値が上がる可能性がある

人気エリアで市街化区域に隣接した市街化調整区域の場合、住みたい人が多いはずなので、将来今より高く売れるかもしれません。建築物には許可がいりますが、駐車場などにすれば許可はいらないので、人気エリアが今より人気になり、駐車場を求める人も増えれば、売却時に査定額が上がります。また可能性は低いですが、人気エリアで都市計画の範囲を広げる話が出て、今市街化調整区域の土地が市街化区域になれば、一気に地価は上がります。少しギャンブル的な要素もありますが、市街化調整区域はこのような可能性も秘めているのです。