2章 ミクロ経済学

 2章では,いよいよミクロ経済学の理論に入っていく。ミクロの理論は非常に精緻で本格的にやり込んでいくと数学の世界に入っていく。ミクロは様々な分野に分類する事ができる。

 消費者理論,生産者理論,価格理論,公共経済学,産業経済学,ゲーム理論等である。すべて個人の行動を基礎として分析している。そして個人の行動を最も的確に顕し,なおかつ影響も与えているのが価格である。

 水とダイヤモンドのパラドックスという言葉を聞いた事があるだろうか?

 両者どちらにより価値があるかと聞かれれば多数の人間はダイヤモンドと答えるだろう。でもよく考えてほしい。実際どちらに価値があるか考えれば水であろう。みなさんは多分ダイヤモンドの価格が高いから価値があると思うのである。価値があるから価格が高くなるのであって価格が高いから価値があるのでは本末転倒である。ダイヤモンドは水より価値があるとは思えない。なぜかと言えば,水は生きる上で一番必要な物で,最も価値があると言えるからだ。では,なぜダイヤモンドの方が高いのか?

 それは,希少性が関係している。数が少なければ求める人が少数でも価格は上がる。逆に水は多量にあるので,求める人が多数でも価格は安定する。希少性によって価値のあるモノの方が安くなる事もありうるのだ。価格が高いから価値があるとは必ずしも言えない。人は高いモノほど品質が良くて価値があると思う傾向にあるが,希少なモノであれば品質が多少悪くても高くなる可能性は充分にある。

 食品等でも言える事で,世の中に沢山あるものであればおいしくて安いモノも沢山ある。世の中に数が少なければおいしさにあまり関係なく高くて高級なモノになる可能性も高い。

 価格を理解する事で,経済の様々な側面が理解できるようになる。ここから先様々な事例を用いて,ミクロのエッセンスとなる消費者理論,生産者理論,価格理論の理解をはかる。その後,応用分野を説明していく。